ロードレーサーのディスクブレーキについて考える
先ごろ、コルナゴからC59 Disc というロードレーサーにディスクブレーキを搭載したマシンが発表されました。
さらに先日のスラムの新型REDの発表後、油圧式のブレーキを開発中であるとの発表、シクロクロスのディスクブレーキ解禁、
サーベロのP5に搭載されたMAGURAのRT8油圧リムブレーキなど、
いよいよロードレーサもディスクブレーキが浸透する頃合いかなーと思ったりしたり
フジワラちゃんの記事を読んで触発されたりして今この文章を書いてます。
ロードレーサーのディスクブレーキについて考える
重量面では不利
いきなりですが、重量では現在のリムブレーキに敵いません。
ディスクブレーキは構造上ディスクローターが必要でありこれをマウントするためにボルトが6本
(過去には4本などもありましたが現在はHAYES規格の6本が主流です。)
(もしくはセンターロックであればロックリング)
が必要です。参考までに、XTRのブレーキローター、SM-RT98の160mmは一つ126gあり、前後で252gです。
しかもホイールにくっついてるのでペダルを踏むとこれも回転するのでホイールの重量にそのまま加算されます。
LightBikesという、軽量パーツマニアの間ではお馴染みのサイトがあるのですが
そこの軽量ランキング上位に食い込む軽量MTBの殆どは未だVブレーキです。
制動力が一定
雨天でも制動力が落ちません。一定です。ここでなぜ「ディスクブレーキは制動力が高い」と書かないか?
それはロードレーサーの一般的な700C x 23CというタイヤではMTBのタイヤのような
大きい接地面積に到底敵わないからです。
自転車が止まるためには制動力だけではなく制動力を路面に伝えるタイヤも大きな役割を果たします。
なので、単純にブレーキの性能だけで制動力を考えるのは難しいと思います。
雨でも制動力が落ちない、このメリットはかなり大きいと思います。(後述)
スポーク本数が増える
リムブレーキと違い、ローター→ハブ→スポーク→リム、
とストッピングパワーが伝達する方向が逆です。
小さい面積(ローター)から伝わった制動力がリムに伝わるので、スポークに負担が大きいです。
そのため、MTBでは32本か、28本程度のスポーク本数を維持しなければ強度が保てません。
なのでスポーク本数を減らし、空力を改善している(現代的な、高速巡航に特化した)
ロードレーサーにはすこし不利かもしれません。
リムの造形の自由度が高くなる
ZIPPのFireCrest、ENVE・SES、ボントレガーのD3システムなど、ディープリムをさらに空力に特化させた、
カーボンディープリム・2nd Generation
とでも呼ぶべき太いリムを持ったホイールが発売されています。
リムからブレーキ面が消失することでより空力に特化し、外周部を軽量化したホイールが出るかも?
しれません。
あるいは、パンクしにくいリムのエッジをもたせたWOなど。
あと、リムにいっぱいステッカーが貼れますね。
↑重要
参考に:Volagi社
ちょっと前にスペシャライズド社に提訴されたVolgai社という小さなディスクブレーキ搭載ロードレーサーを専門に手がける
メーカーがあります。ここのホイールを見てみましょう。
おっと、動画は再生しなくて大丈夫です。サムネイルにラージフランジハブを持ったホイールが写っています。
ラージフランジにすることでスポークは短くなり、ホイールの剛性が高く、スポークの負担も少々?減ると思います。
以下、Volagi社のサイトより引用
E7^(TM) IGNITE EL Wheels
Rim - High Strength 6065 AL alloy with stainless eyelets (24 hole), 26 mm(h) x 23 mm(w) Aero profile clincher rim
Unique 23 mm wide designed for disk brake maximizing compliance and optimized to fit wider range of tires.
Spokes -- Sandvik T302 high strength patented cold forge triple butted super light straight pull, black ED.
Welded seamless rim construction for maximum strength and light in weight
Nipples -- Brass 14mm, Red anodized
Hubs - Disk Brake Hub, 130mm(R) Japanese sealed bearing(rear-Quad(4)), AL7075 CNC body with directional spoke angle for maximum strength and fatigue life.
1,630 - 1660 gm per set
E7^(TM) IGNITE SL Wheels -option to upgrade
MSRP $1,495.00 Option to upgrade from E7 Ignite EL wheels $900.00
Rim - UHM Ultra High Modulus Carbon with SSW (super smooth wall) composite layup and UD (unidirectional) construction.
Rim profile designed specifically for disk brake; maximizing for strength, weight and durability.
Unique 30 mm (h) x 25 mm (w) Aerodynamic profile for optimized speed and comfort.
Spokes - Sapim CX-Ray^(TM) Aero high strength straight pull spokes
Nipples -- Alloy 7075 14mm, Red anodized
Hubs - Disk Brake Hub, 130mm(R) Japanese sealed bearings (rear-Quad(4)), AL7075 CNC body with directional spoke angle for maximum strength and fatigue life
1,460 - 1,490 gm set
おそらく、これは今のところ唯一市販されているロードレーサー用ディスクブレーキ専用ホイールセットではないでしょうか?
(コメ欄にてタレコミお待ちしております。)
参考に:ENVEの29erホイールセット
29erは、ホイールだけであれば700C規格と互換性があります。直径622mmです。
なので、ここでは俺の大好きなENVEのXC用29erホイールセットの重量を見てみましょう。
クリンチャーで1534g~1352g。リム385g。
TUで1324g~1142g。リム280g。
え、軽い?
さっき調べてて驚きましたw まさかこんなに軽いとは思いませんでした。
これはXC用なので、ロード用とすればさらに重量をそぎ落とせる可能性はありますね。(もちろん安全性を保ったまま。)
3/12追記ここから↓
いかがでしょうか。重量というデメリットがあるので、まずは空力に特化するという方向性から、
TTバイクと専用ホイールセットといっしょに発売される可能性が高いかなぁ?と個人的に思います。
そして悪天候でも変わらない制動力。
ロングライド・ブルベ派の人から寄せられた意見ですが、長いライディング中でも天候の急変を気にしなくてもいい、
雨の下りでも安心感がある。という意見がありました。
さきほど紹介したVolagiのバイクは、このメリットに気づいてたようで、
ジオメトリ/フレーム設計がロングライド向きとなっています。
自分も大雨の中、箱根を下るという経験を過去にしており、その時はXTのVブレーキでしたが、この経験がきっかけとなり、
ミクチャリを最後にはディスクブレーキにするに至っています。
セットアップにはめんどくささが伴いますが(エア抜き、ブリーディングなど)一度ディスクブレーキの制動力を味わってしまうと
なかなか病みつきになりますよw
パッドもそれほど減りませんし。
ただ、機構的には複雑になるので、スモールパーツなど、細かい部品の入手性がもう少し良くなると
いいなぁ、と思いますね。
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